グイッと腕を引っ張られた



ふわりと香る石けんみたいないい匂い





「…バカだな、何も悪くないのに。」





どうして謝るんだよ。って、困ったように泉が笑った気がした


何も言わなくても平気だって思ってた俺が悪いに決まってんじゃん




ギュッと抱きしめながら、そう呟く





「…不安にさせて、ごめん」


「っうん」


「いっぱい泣かせてごめん」


「…っ、別に泣いてない…」


「バカ、嘘つくならもっとマシな嘘つきな」





クスクス笑う

その笑い声、なんだか懐かしい



力強く抱きしめ直して、私の名前を呼ぶ

「千紗」って。




…うん、なに?