いつもは見せないような、少し焦った顔

何か言いたそうだけど…




「……行くの」




小さな声でそう聞く志摩くん




「うん…行かなきゃ」


「…。」




ギュッと、一瞬だけ強まった力

それからゆっくりと腕から手を離す





「…あっそ」


「うん」


「走って転んじまえ」


「なっ!?」





キッと軽く私を睨んだ志摩くんは、

力強く私の背中を押す




「…ありがとう」




私も小さな声でそう呟いて、

学校めがけて走り出した















「…海斗くん、もしかして千紗ちゃんのこと好きだった?」


「うるっさいな、ちょっと黙ってろ」


「ふん、可愛くないの〜」


「…。」





「(…好きになる前で良かったって、思うよ。)」









好きに理由なんていらない