1日10分、俺とハグをしよう



キッチンから小さな声で尋ねる店長を軽く睨む

志摩くんが相手って、私にはもったいなさすぎるし…!




カランコロン、とまたベルが鳴る




「あ、いらっしゃいま__…」




入ってきたその人の顔を見た瞬間、

息が止まった




私の学校とは違う制服

ぱっちり二重に、胸元までのゆるく巻かれた髪の毛


可愛いってより綺麗な、あの子。





『…好きだよ。』




文化祭、図書室


泉と一緒にいた、泉と付き合っていた、子。





「…早乙女ちゃん?」




不思議そうな店長の声にハッとする


…っいけない、こんなところまで私情を持ち込むなっ





「…あの、」