1日10分、俺とハグをしよう



「…千紗はちゃんと終わらせなよ、それ」


「え…?」





そう言った藤堂は、私から離れて、教室を出ようと扉へと向かう



…また、行っちゃう。

まだ、嫌だよ…最近ただでさえ全く話せてなかったのに。




あの子たちと遊びに行くんでしょう?


腕なんか組んじゃって、軽くキスなんかしちゃったりもして、




"おいで"って、私じゃない子たちに、簡単に言うんでしょう?





「……ねぇ、千紗ってさ、甘えん坊だよね」


「だって…」





だって、まだ行ってほしくない



藤堂の腕を両手で掴む

顔をあげると、奴は私の頭をポンと撫でた





「…行かないで」


「…もー…勘弁してよ」





片手で顔を覆う藤堂





「…好きな人、いるんでしょ」