ふいにクイっと片手で顎を持ち上げられて、
藤堂と視線が重なった
ドキって心臓が跳ねる
…藤堂のドキドキと、陸の時のドキドキは、
似てるようでまったく違う。
ゆっくり近づく奴の顔に、
「……なんて、ね。」
息が止まった
「…ふは、思わずキスしそうになっちゃった」
困ったように笑う藤堂
「…冗談だよ。ごめんね、もうこれで最後」
前髪をはらって、
またおデコにキスをする
「…変な関係もこれで終わり。」
「……え」
そう言って私から離れる
藤堂の匂いが、消えていく
「じゃあね、千紗」
手を振って、背中を向けた
あの特別な関係が、これで終わり?

