「藤本さん。力入ってないよ。」

水原くんに送ってもらえる事になったんだけど、やっぱり上手く力が入らなくてもフラフラする。

「あ。ごめんね。歩くのおそくて。」

「いいよ。気にしないで。てかさ…」

そう言って急に私の目の前にしゃがむ。

「え?何?」

「いや…おんぶ…したほうがいいかなって思ってさ…。あいやごめん!汗臭いし泥だらけの奴はやだよね!ごめん忘れて!!!」

顔を真っ赤にしながらなかった事にしようとする水原くん。

その顔にドキッとする。なんで。初めて会った様なものなのに。

「なんで?おんぶしてくれないの?」

「あ。え。いや…。します…。」

そう言ってまたしゃがむ水原くん。
その背中にそっとしがみつく。

「藤本さん。軽すぎ。飯食べてる?」

「軽くない。食べてますー。」

私と比べると水原くんはおもったより筋肉質なんだ。背中とかすごい広いし。いつもは遠くからしか見なかったから知らなかった。

「藤本さん身長低いよね。いくつ?」

「…152cm」

「だよねー。僕182cmだし。」

「水原くんが高いんでしょ。」

「まぁねー。でも僕、身長低い子好きだよ。」

…何ドキドキしてんの。私。