途中、西宮さんの本当の心が見えたような気がした。

自分の肩書きやルックスだけを目当てに寄ってくる女の子もいると話した彼は、少しだけ切なく感じるような表情を浮かべていた。

彼が、婚活パーティーの後に〝ああいう女、すごい嫌いでさ〟なんて言ったのも、こういう事だったのかもしれない。


「でも、私も人間なので〝追われると逃げたくなる〟っていう心理が働くと思いませんか? 今だって、西宮さんから逃げたいって思ってるかもしれないじゃないですか」

私の言葉に、西宮さんは「確かにそうだね」と言って笑う。

この瞬間ですら彼は余裕そうに見えて、私の本当の気持ちを知っているんじゃないか、と思わずにはいられない。

「まあ、でも。俺は逃がさないよ? 麻美ちゃんが逃げたいと思ってたとしても」

ふと視線を上げた西宮さん。彼と、ばちりと目があってしまった私は、その視線を外すこともできずにただ黙り込んだ。

どくん、どくん、と大きく跳ね続ける心臓が痛い。

本当に、このまま西宮さんの瞳に飲み込まれてしまうんじゃないか。なんて、考えていると。


「つくねチーズと明太ササミです」

注文していた焼き鳥を持ってきた店員さんの声にハッとして、私は視線を即座に新たに運ばれてきた焼き鳥へと移した。