「はは、そんなに俺のこと好きなの? 可愛いなあ。だけど、ご飯はちゃんと食べないとダメだよ。……って、不安にさせたのは俺か」
ごめんね、と言って私の髪を撫でる彼の指先があまりにも優しくて、何故か私の目頭が熱くなった。
段々と視界がぼやけて、気づいたら私の目からは一筋の涙がこぼれ落ちた。
「え、待って。ちょっと、麻美、そんなに不安だったの?」
ごめん、本当、ごめん。
そう言って焦る彼に、私はぶんぶんと首を横に振り、必死に否定する。
「西宮さんとずっと一緒にいられるのが、夢みたいで嬉しくて」
最初は、〝副社長〟である彼のことを勝手な偏見から入った。
考えていることが掴めない彼の好意が本物なのかを疑って、自分の気持ちにも気づかないフリをした。だけど、気づいてしまった時には、もう彼以外なんて考えられないくらい惹かれていて、もう後には戻れなくて。
変なところだけ思っていることを素直に伝えられない、こんな不器用な私のことを〝そのままでいい〟と言って受け入れてくれるこんな人。きっと、他にいない。

