「今日は、本当にありがとうございました。とても楽しかったです」
気づけば、西宮さんの自宅にお邪魔してから5時間以上が経っていた。西宮さんの昔の話やご家族の楽しい話を聞かせてもらった上に夕ご飯までご馳走になり、お邪魔する前の自分が信じられないくらいに私は楽しい時間を過ごしていた。
「麻美ちゃん、また来てね」
「今度3人で女子会でもしましょう」
一番の壁と思われていた純奈さんと樹里さんとも不思議なくらいに打ち解け、たくさんの話をした。
快く私を家やご飯に誘ってくれる二人に、私は笑顔で「はい、是非」と頷く。
またここに来られる日と女子会を開催できる日を今から楽しみにしていた私の横で、西宮さんは何故かつまらない表情を浮かべている。
「それじゃあ、外も寒いし早く家に送ってあげて」
「うん。行ってくるわ」
「麻美ちゃん、またね」
「はい!ありがとうございました!」
ぶんぶんとお姉さんに手を振りながら、背を向ける。
門をくぐり車に乗り込むと、シートベルトをつけながら西宮さんが「一日で仲良くなりすぎでしょ」と呟いた。
俺は何日もかかったのに、と頬に空気を溜め込む西宮さんに、私は少し笑い声を漏らした。
「嫉妬してるんですか?」
私がそう聞くと、彼は「そうだよ。悪い?」と言って唇を尖らせる。

