「私達としては、何も包み隠さず正直に答えて欲しい。嫌だったら幸人にもその答えは言わないでおくから」

そう言ったショートヘアのお姉さんがテーブルに置かれている紅茶を一口喉に流した。

お姉さんの視線も、ご両親や祖父母さんの視線も、全て私に集まっている。

これは、逃げられない。言うしかないか。と、私は意を決して口を開いた。


「……あの、本当に正直に答えて良いんですか?」

私の言葉に、深くお姉さん二人が頷く。

「うん。正直に答えて」

「大丈夫。何言っても、樹里も私も怒ったりはしないから」

交際反対はするかもしれないけど、と言って悪戯っぽく笑うショートヘアのお姉さんに私の緊張感は今までの比ではないくらいに高まった。私は、またごくりと唾を飲み、口を開いた。


「えっと……正直なところ、何に惹かれたのかはよく分かっていません。そのくらい、自分でも驚くくらいのスピードで幸人さんに惹かれていました。彼のどこに惹かれたのか、何度か考えたことはあるんですけど、強いて言うなら……」

「強いて言うなら?」

お姉さん二人と向かい側のお母さんが前のめりになって私を見る。

私は、次に発する言葉を準備すると、高まり続ける緊張感の中口を開いた。


「……居酒屋さんで、一緒にご飯を楽しく食べてくれるところですかね」