「……えっ?」
「まあ、前からずっと思ってたんだけどさ。今、ものすごく独り占めしたい」
背中に回す腕の力を強めた西宮さん。彼の胸に再び顔を埋めると、私はゆっくり首を縦に振った。
私が首を縦に振ると、西宮さんはくすりと笑って「ありがと」と呟く。私も、彼の胸の中で口角を上げると、少しだけ腕の力を強めた。
「あ。明日、仕事終わり予定ある?」
突然、何か思い出したように声を発した西宮さん。
「明日、予定は無いです」
私がそう答えると、彼は口角をくっと上げて口を開いた。
「せっかくの金曜日だし、ゆっくりデートでもしない?」
「はい!是非」
彼の提案に大きく首を縦に振る。
また一つ増えた楽しみに口角を上げると、私と西宮さんは、二人手を繋いで家路を歩き始めた。

