そんなことがあった日の、翌日。

私はひとり、日直の仕事としてクラスの分の数学のノートを職員室へ運ぶべく廊下を歩いていた。



「千夏、私も職員室行くし手伝うよ」



すると追いかけてきてくれた芽衣。

その言葉に甘えて頷くと、芽衣とノートを分け合って廊下を歩いた。



昨日、青木先輩と図書委員の仕事をしたとか、頭上の本を取ってくれたとか、最終的には整理を手伝ってくれたとか。

それらの出来事をどうしてか芽衣には話せず、飲み込んだ。



「きょ、今日も青木先輩と帰るの?」

「うん。今日はケーキ食べに行く約束してるんだ」



えへへ、と笑う表情から、彼への愛が伝わってくる。

それと同時にどうしてか胸がズキ、と痛んだ。



その瞬間、降りようとした階段の一番上の段で、私の足はつっかかり、そのまま前へと転んでしまう。