諦めきれない

トイレに向かって歩いていると…

「なんで、笑うのよ!」

どこからか、明るい、よく聞いたことのある声が聞こえた。

(千秋の声だ)

声を辿ると階段のところに男女二人の姿が見えた。

千秋と悠真だ。
何故か胸の奥がぎゅっと締まる。

「ちあちゃん───好きなんだよ」

よく聞き取れないけど、“好き”という言葉ははっきりと聞こえた。

そのとき、

悠真は千秋の額にキスするのが見えた。