***


あの後少なくとも私と一緒にいる間は機嫌が治った沙奈。



午後の授業も真面目にやれそうだった。



「麻奈ちゃぁぁん」



最後のSHRを終わりを告げるチャイムが鳴った10秒後、私の教室に来た沙奈。



「帰ろ!!」



相変わらずだね、沙奈。声でかい。



でも珍しいな、沙奈が教室までくるの。
いつもは階段の前で待ち合わせしてるのに。



「わかったわかった。」



声でかいと言いつつも私も沙奈が好きだから許しちゃうんだけどね。



「あ、麻奈ちゃん、ばいばい」



朱里ちゃんと花穂ちゃんが手を振ってくれた。



「ありがと、ばいばい」



私も2人に手を振り返して沙奈と一緒に学校を出る。



「ねぇ、麻奈ちゃん、お昼のこと怒ってる?
ほら、ラウンジで大声出しちゃったでしょ、麻奈ちゃんそういうの嫌いだから。」



心配そうな顔つきで沙奈が聞いてくる。



教室まで来たのはこれか。
私が怒って先に帰っちゃうと思ったんだね。



可愛い奴め。



「んーん、怒ってないよ。」



私が一言そう言うと、ぱぁって、効果音が付くくらい嬉しそうな顔をして。



「そっか!ならよかったぁ!
大好きな麻奈ちゃんに嫌われちゃったらどうしようかと思っちゃった。」



って私の腕に自分の腕を絡ませてくる。



可愛いなぁ。だから沙奈の事を憎めない。



どんなに私より可愛くて、モテていても、憎むことなんて絶対にしない。



私も沙奈のこと、大好きだから。