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自由時間が終わって、もう電車に乗る時間になった。



「面白かったねぇ~」



「お前ら...ほとんど食べてばっかだったじゃねえか...」



日向くんの言う通り、結局女子は行く先々にある美味しそうなものを食べて過ごした。



男子は後ろに付いてきて、男子同士でおしゃべり。



思ってた林間学校とちょっと違った自由さだったけど、すっごい楽しかったな。



また、このメンバーで出かけてみたい。


***


地元駅に着いた。



帰りの電車、どんなに盛り上がるだろう、と想像してたけど、みんな疲れて電車に乗ってすぐに眠っちゃった。




「うう...首痛い...」



「麻奈ちゃん、すごい首傾いてたもんね」



「やっぱり...」



痛む首をさすりながら集合場所に向かう。



これから、クラスごとに集まって人数確認、次に学校に行く時の確認、解散、って流れだったと思う。




「じゃあ、休みの間もしっかり体調確認しておくこと。
それじゃあ、解散!」



みんなで「バイバイ」を言って、くるりと振り返ると、沙奈がいた。



「沙奈のクラスって早いよね、いっつも」



「そう?
まぁ、担任の先生が余計な話しないからね。」



いっつも沙奈を待たせてるの気が引けるなぁ



「麻奈さん、沙奈さん、じゃあね」



「麻奈ちゃん、沙奈、じゃーなー!」



圭介くんと良太くんに言われて私たちも「ばいばーい」と返す。



2人は私たちに手を振って、自分たちの家の方に向かった。



私も、沙奈と並んで家の方へ歩き出す。



ふと、私は圭介くんの方を振り返る。



林間学校で、まさか『好き』を自覚することになるなんて思ってなかった。



びっくりだけど、なんだか嬉しい。



みんなと恋バナして、美味しいものたくさん食べれた林間学校。



途中ちょっと倒れたけど、すっごく楽しかった。



少しの思い出に浸ってから、私は沙奈と家に向かった。