「どんな人なの?」



恋愛。という感じがあまり無い花穂ちゃんの恋バナだからか、私の時よりもワクワクしてる様子の朱里ちゃん。



「えーと、可愛い感じ、かな?」



「可愛い!?」



花穂ちゃんが好きになるのはちゃんとした感じの人だと思ってた。



「普段は割と普通だよ?顔もかっこいい方だし。でもね、なんかカッコつけようとしてる時に照れちゃって顔赤くなっちゃう可愛い人なの。」



まるで可愛い子どもを思い出すような口ぶりで言う花穂ちゃん。



イケメンで照れ屋か...。いいね。



「年上って言ってたけどさ、出会いは?
年上と関わることってあんまり無いよね。」



気になって聞いてみる。



私たちは高校1年生になったばかりだし、花穂ちゃんは部活に入っていない。



先輩と関わる機会はほぼ無いはず。



「あぁ、中学の時の委員会でお世話になったの。

この高校入ろうと思ったのもその人の影響だったり...する。」



そう言う花穂ちゃんは、だんだん恋する女の子の顔になっている。



可愛いな~



「高校入ってその人と話した?」



「うん、話したよ。入学式の後に。
『入ってると思ってなくてびっくりした』って言われた。」



「告白は?」



「してない。」



「する予定は?」



「未定」



「付き合いたいとかは思う?」



「そりゃね」



あっさりと答える花穂ちゃん。



サバサバしてるなぁ。



「好きになったきっかけは?」



「えーと、委員会関係で一緒に出かける機会があって。そこで一緒にいたら、すごい話しやすいなって思ったのが、意識し始めたきっかけ。

好きになったのは、普段、見た目はカッコイイのに中身は可愛いっていうギャップと、

私を......女扱いしてくれた、から。」



意外な理由に首を傾げる私と朱里ちゃん。



「ほら、私ってサバサバしてるじゃない?

そういう子ってあんまり女扱いされないんだよね、中学生って。


そしたら、それに気づいたその人が、
『高木も女の子だし、十分可愛いのに、なんで周りの男達はそれに気づかないんだろうな』って。」




う、わ。カッコイイ。



そんなん、好きになるよ。



横で朱里ちゃんも顔を覆っている。



花穂ちゃんは少し照れ気味。



「...素敵な人だね。」



やっとの事で私がそう言うと、



「でしょ」



と、花穂ちゃんはドヤ顔で返してきた。




数秒後、恥ずかしさが限界に達したのか、



「~~っ、もう寝るよ!
おやすみ!」



と言って私たちの反対側を向いてそのまま寝てしまった花穂ちゃん。



そんな花穂ちゃんを見て、私も朱里ちゃんも寝ることにした。



時間は、12時を指していた。