「おーい!沙奈ちゃん、麻奈ちゃーん」



名前を呼ばれて二人でキョロキョロする。



「...!良太くん!」



私と沙奈の名前を呼んだのは、良太くんだった。



「びっくりした~

沙奈ちゃん、いきなり走り出すんだもん。
速いし。」



小走りで私たちのところに来た良太くんはそう言った。



沙奈は運動神経いいからね。



「どうしたの?そんなに急いで走っちゃってさ」



「いやぁ、私がここに来る時軽く倒れたっていうか、倒れかけたのが沙奈にバレて...」



「えっ、麻奈ちゃん倒れたの!?怪我は!?」



私の言葉を聞いて、心配そうな顔をしてくれる良太くん。



「だ、大丈夫大丈夫。

何ともないよ。圭介くんが助けてくれたし。」



「そっか。圭介男前だろ~?
自慢の弟なんだよ。」



自慢げにそういう良太くんは、沙奈を自慢する私とそっくりで、少し可笑しい。



「まぁ圭介くんもなかなかだけどね?
沙奈のほうがすごいから」



「なんだと!うちの圭介を舐めるな
あいつ基本何でもできるからな。」



「ふふん、沙奈だって基本何でもできるし。
しかも可愛いし!ノリいいし!超・モテモテ気質なんだから。」



「ちょっと麻奈ちゃん、恥ずかしいからやめてよ。」



私の服を引っ張って少し赤い顔で沙奈が言う。



照れちゃって可愛いなぁもう。



「良太もやめろよ。
声でかいから。聞こえてるから。」



良太くんにも圭介くんから注意が出て、姉VS兄の妹弟自慢がとりあえず一旦終わった。