ちょうどいいので、私はずっと気になってたことをこっそり聞いてみた。



「ねぇ、朱里ちゃん。
これからの林間学校で中野くんに告白する?」



「ふぇ!!!?」



朱里ちゃん変な声を発し、顔を真っ赤にする。



「ななななんのこと?」



動揺しすぎでしょ。



「中野くんの事が好きなんじゃないの?」



「そそそそそそんなことっ...!



...............あるんだけど。」



可愛い。



「あ、麻奈ちゃーん」



「ヒッッ」



座席のうしろからひょっこり顔を出す中野くん。それに怯える朱里ちゃん。



「なーにしてんのー?

こっち来て俺と一緒に遊ぼーよ。
あ、でもごめんね。俺以外にも何人かいるんだけど」



中野くんは相変わらずチャラいね。

遠慮しとくよ。



「ん?朱里もいるじゃん。なんか顔赤くね?」



私と中野くんが原因っちゃ、原因なんだけどね。



「い、いや、大丈夫。
ちょっとびっくりしただけだから」



「んー?
ほんとに大丈夫かぁ?

お前は昔からそういうの大丈夫って言うくせ熱出すからなぁ。

朱里、昨日ちゃんと寝た?寝不足は体調不足の原因だぞ?」



言いつつ朱里ちゃんのおでこに向かって手を伸ばす中野くん。


「大丈夫だからッ

...中野くんは、他の子と遊んでなよ。」


その手から逃れるようにバッと席を立った朱里ちゃん。



「おい。」



それに気を悪くしたような中野くん。



「ほんとに大丈夫だから。

今、麻奈ちゃんと話してるから邪魔しないで」



どんどん声のトーンが低くなる朱里ちゃん。



...お2人、どんどん雰囲気暗くなってるんですけど。



「ほ、ほら。朱里ちゃん大丈夫って言ってるしさ!大丈夫だと思うよ!

大丈夫そうじゃなかったら、私が保健の先生のところつれてくから安心して。」



私の言葉を聞いて、中野くんは納得いかなそうな顔をしながらも、引き下がってくれた。



「朱里、無理すんなよ」



「...うん。ありがとう。」






十分に愛されてると思うんだけどなぁ、朱里ちゃん。



それでいてなんで2人が付き合わないのか...。



中野くんも、いつもあんなに押せ押せなのに朱里ちゃんに手を出してないってなんなのよ。