「俺達は、えーっと、幼なじみってやつなんだよね」



朱里ちゃんのパニックが収まったところで説明を始めてくれた2人。



「親同士が仲良くて...でもまさか高校も一緒になって、その上クラスまでも、林間学校の班でさえも同じになると思ってなくて...」



今にも泣きそうな顔をして朱里ちゃんが言う。



そんなに嫌なの...?



「別に隠そうとか思ってた訳じゃないんだけど、なんか関わりなかったから隠れるみたいに...」



「私は...私みたいに地味な人がこーく...中野くんの幼なじみだったら嫌かなって思ったからなるべく知られないようにはしてた...かな」



2人ともちょっと考え方違うみたいだけど。



「呼び方はみんなの前でどうしてるの?」



「私は、中野くん」



「俺は朱里のままだよ。
元から女子は下の名前で呼ぶ派だし

あ、金井ちゃんも下の名前でいい?
ついでに妹ちゃんも紹介して欲しいんだけど」



ついでのように言う中野くん。



「ん、いいよ

沙奈はわかんないけど」



中野くん...もしかして狙ってたのかな

沙奈を紹介してもらうこと。


そんな簡単に可愛い妹は渡さないよ?



「おっけ、麻奈ちゃんね、了解。

沙奈ちゃんに関してはまぁ機会がある時でいいや」



意外とドライなのね、中野くん。



相手が嫌がる事はしない主義?



何か視線を感じてそちらの方をみると、朱里ちゃんがじっとこっちを見てた。



バチッと目が合ってすぐ朱里ちゃんにはそらされちゃったけど...どうかしたのかな。



「まっ、人に聞かれない限り俺達のことは言わなくていーよ

わざわざ他人に教える事でもないし。

な、これでいいだろ、朱里」



「こーくんがいいなら...」



心配そうな顔をしつつも頷く朱里ちゃん。



「あ、チャイムそろそろ鳴るよ。

教室戻んなきゃ」



時計を見て言った私の言葉を皮切りに全員が教室に戻った。