「多治見さんは、」
ミユキが急に僕の顔を見上げてきたから、一瞬驚く。
「誰か好きな人いらっしゃるんですか?」
そんな唐突に聞くものなのか?
若さゆえだろうか。
会った時からミユキには面食らうばかりだ。
でも、嫌いではなかった。
自分にはない感性を持っているミユキは、話していてとても面白いと感じていた。
「好きな人?いないよ。」
そう言いながら、アユミの顔が脳裏をかすめた。
ミユキはうつむいて、こちらに聞こえるか聞こえないかの小さな声で「よかった。」と言った。
そして、続けた。
「去年、私が作ったあんころ餅を会社の人達に持って行ったの覚えてますか?」
「ああ、覚えてるよ。おいしいあんころ餅だった。」
僕は当時を思い出した。
重箱いっぱいにあんころ餅を入れて、緊張した面持ちで僕たちに振る舞ってくれたミユキの姿。
重箱が重たかったのか、少し腕が震えていたように見えた。
そのあんころ餅は手作りで、甘さも丁度よくとてもおいしかったのを覚えている。
「その時ね、多治見さんだけがおかわりしてくれたんです。」
「え?そうだったっけ。」
「ええ、『おいしいおいしい』って言いながら、3個も食べてくれて、すごく嬉しかったんです。」
そんなことはちっとも覚えていなかった。
「私が初めて作ったあんころ餅だったから。」
ミユキは、じっと僕を見つめていた。
不覚にもその目にドキッとする。
「またこうやってデートしてもらえますか?」
ミユキは突然恥ずかしくなったのか、すっとうつむいた。
「もちろん。」
僕はその緊張した横顔に優しく言った。
ミユキが急に僕の顔を見上げてきたから、一瞬驚く。
「誰か好きな人いらっしゃるんですか?」
そんな唐突に聞くものなのか?
若さゆえだろうか。
会った時からミユキには面食らうばかりだ。
でも、嫌いではなかった。
自分にはない感性を持っているミユキは、話していてとても面白いと感じていた。
「好きな人?いないよ。」
そう言いながら、アユミの顔が脳裏をかすめた。
ミユキはうつむいて、こちらに聞こえるか聞こえないかの小さな声で「よかった。」と言った。
そして、続けた。
「去年、私が作ったあんころ餅を会社の人達に持って行ったの覚えてますか?」
「ああ、覚えてるよ。おいしいあんころ餅だった。」
僕は当時を思い出した。
重箱いっぱいにあんころ餅を入れて、緊張した面持ちで僕たちに振る舞ってくれたミユキの姿。
重箱が重たかったのか、少し腕が震えていたように見えた。
そのあんころ餅は手作りで、甘さも丁度よくとてもおいしかったのを覚えている。
「その時ね、多治見さんだけがおかわりしてくれたんです。」
「え?そうだったっけ。」
「ええ、『おいしいおいしい』って言いながら、3個も食べてくれて、すごく嬉しかったんです。」
そんなことはちっとも覚えていなかった。
「私が初めて作ったあんころ餅だったから。」
ミユキは、じっと僕を見つめていた。
不覚にもその目にドキッとする。
「またこうやってデートしてもらえますか?」
ミユキは突然恥ずかしくなったのか、すっとうつむいた。
「もちろん。」
僕はその緊張した横顔に優しく言った。



