「マサキはどうなんだ?新聞社決まった?こないだ面接試験受けてたよな。」

マキキはうつむいた。

え?もしかして駄目だった?

気まずい空気が一瞬流れる。

「・・・受かった。」

「え?」

「東方新聞社、内定もらったよ。」

「おいー、びっくりさせるなよ。よかったな!」

嬉しそうに笑うマサキの肩を抱いて、僕も喜んだ。

着々と自分の道が切り開かれていく。

自分の夢を実現させるために。

なんともいえない高揚感が体中を駆け巡っていた。

「ところで、ソウスケ。アユミちゃんとはどうなんだ?」

「アユミ?」

藤堂アユミ。

同じ研究室の女友達。

というか、限りなく彼女に近い存在の友達だった。

父親は銀行の取締役とかで、生粋のお嬢様。

僕とは全く住む世界が違う子だったけれど、同じ研究室になってからとても話が合う。

いつの間にか僕もアユミもお互いに惹かれていた。

ただ、お互い好意を寄せているのはわかっているけど、近すぎて自分の気持ちはまだ言えていない。

「大学卒業したら、アユミちゃんと結婚するのか?」

「まさか。」

マサキって奴はたまに暴走する。

「付き合ってもないのに、いきなり結婚はないだろ。」

僕は苦笑した。