関西弁というのは、早口なものだと思っていた

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北の街は夏が終わると駆け足で冬がやってくる。
そんな冬に向かう季節、僕はこの街に住み着いた。
いや、旅の延長でそのまま居着いてしまったと言った方がふさわしいかもしれない。

祭りは一年中続くわけではない。
夏にあれほどいた旅の仲間たちがひとり帰り、またひとり帰り、雪虫が舞う頃には誰もいなくなったかに見えた。

ところが、わずかばかり酔狂な連中が残っていて、北の大地のほうぼうに散らばっているのである。

あるとき、僕の旅の師匠である戸崎さんから誘いがあった。

「こんど、俺の仲間の民宿にみんなで集まるんだけどさ、シンちゃんも来ないか?」

慣れない土地で寂しさを感じ始めていたから、二つ返事で誘いに乗った。