太蓬莱の事を記すとすると、些か長い著述となる。彼は幼児名を阿位と言い、仕事名を当時阿位太蓬莱弐等其と申した。
 時代は、何れの方案にも混沌と在ったが、実際は特段無かったと言われている。萬万の意を得ている畢が二名、一人彼、そして後述する一人名を幼児名聖位、仕事名を龍神天聖輪壱等其と申した。
 創世は特段闇は無く、光のみの太陽来迎の詔であった。その大母は先述した阿位太蓬莱弐等其であった。彼は両性具の神で壱等其は男性である。
 男性の方が秀でていて、具の神は、美毫(美しさ)を保っていない。其処で、宝物に頼る事にした。壱に八尺蟹勾玉、弐に布都御霊剣、参に八佗鏡である。初めて美毫を手にした弐等其は大日と見惑うた。壱等其を上回り、お初と呼ばれた。暗闇はゆうにそれを上回った。何故なら憎かったからだ。
 「男の方が美しいだろう」
 「私もそう思う。でも私の方が美しい」双方の美毫を著述する。
 阿位は金色の髪をしていて、七宝より威光を垣間見せた。嗚呼の音も無い、何と高い身長、齢十九歳の青年美である。瞳は銀で美毫に溶けて仕舞いそうだ。いつも身に着けていた宝物が大母に降りて何も見えないだろうと壱等其は呟いた。非がないその三重の瞼は女性の一等美、鼻が低く通っている事で知られる彼は、今生の位楼女王であった。位楼女王は、一重で鼻が通っている、不細工である。醜いと言われた事の無い弐等其は、壱等其に言われた。御前、位楼女王だわ。頭がいいね。意とする事を一切言えない何て言うんだ。声が変だね。声変わりしたんだ。綺麗だね。空の向こうにいる君が。
 空の向こうにいるのは梵天位だと言われていて、その実本当だった。