コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。

一言晶が返事すると、ドアが開き、見慣れた眼鏡の少年が立っていた。


「守村、なんかわかった〜?」

「…なんだ、そののんきな喋り方は……」


何となく〜、と伸びやかに返事をして、腕を伸ばす。

呆れ顔の響に視線を移し、さっきとは真逆の真面目な口調で尋ねる。


「ここにわざわざ来たってことは、なんかわかったんでしょ?」


ワンテンポ遅れて、響は口を開いた。


「…あぁ。毒の在処だが、アイスティーに含まれていたらしい」

「アイスティー…?」


さすがに意外だったのか、顔をしかめる。

響は軽くうなずき言葉を続ける。


「そうだ。南城香恵が南城政人に飲ませたアイスティーから青酸カリが検出されたらしい」

「また、やっかいだね…。

確かに南城香恵はあのアイスティーを飲んだ。
彼女は倒れなかった。
なのに南城政人は亡くなった…」

「何らかのトリックを使って、南城香恵が飲んだ後に毒を入れたことになる」

「そうね…しかも、それは南城政人ではなく……南城香恵を狙ったとも考えられる、ってことか…」