晶を刺激することを恐れ、刑事野郎こと国枝と美晴は部屋の外に出た。

この部屋は、気絶した香恵のために用意された部屋だった。



机に手を突き頭を抱え、大きなため息を吐く。


依頼先で殺人事件。
しかも目の前で。


どうしようもないぐらいの失態だ。

自分とした事が、情けなくて仕方ない。


今回は何か起こるかもしれないから、起こる前に何とかしよう、という目的で来たのだ。

それなのに、未然に防げなかったことに腹がたつ。




ふと視線を落とすと腕に何かが、キラリと光るのが見える。

じっとそれを見つめ、何かを決意したかのように、立ち上がった。



「くよくよしてる暇はない…だよね」



ポツリと呟き、腕のブレスレットを見つめる。


どんなに辛くても、亡くなった人は戻って来ない。

ならばその人のために、今できることをやるべきだ。


「…あたしにできるのは、真実を見つけること」


真実はどこかに必ずある。

今やるべきなのは、南城政人を殺した犯人を見つけること。


絶対に見つけてみせる。


たとえ、どんなトリックに真実が隠されていようとも―――