「…ていうか、見てるだけじゃどうしようもないんですけど、国枝さん」


グサグサと刺さる視線と言葉。
悲しいほど、晶は国枝に厳しい。


「ははは…大丈夫だよ。君らの事はちゃんと香恵さんに話してあるから…ほら来た」


国枝が顎をクイッと動かす。

見るとこちらに香恵が歩いてきていた。


「国枝さん本当に来てくれたんですね!!」


なめらかな柔らかい声だ。

いかにも良い家のお嬢様という感じだった。

上品な顔立ちに透き通った白い肌。

その上、偽りのない輝かしい笑顔を向けられたなら、女に弱い国枝はあっという間にノックアウトだろう。

現にさっきの3倍ほど素敵な笑顔をしている。


「はい、香恵さんから頼まれたことですからね。嘘なんかつきませんよ。
こっちが僕の言ってた高校生探偵の2人です」


晶と響を指しながら、国枝は相変わらずのスマイルで言った。

心なしか声もいつもより柔らかい気がする。


「まぁ、あなたたちが国枝さんの言ってた2人なのね。
初めまして、南城香恵です」


そう言って優雅に頭を下げる。

慌てて晶も頭を下げ、響も若干お辞儀をした。