いつも着ているスーツと同じようなスーツを来た国枝は、いつもと変わらない様子で晶たちに話し掛けてきた。


「楽しんでる暇あると思います?」


冷たく言い放つ晶。

思わず国枝は笑ってしまった。
相変わらずだな、と淋しいような安心したような不思議な気持ちになる。


「手厳し〜な〜晶ちゃんは〜」


いきなり表情が引き締まる。


「あの感じを見ると、色々考えさせられるな。
頭フル回転で暇なわけないか」


視線の先にはあの3人。
国枝も3人の…香恵と和也の親しげな様子に違和感を抱いたらしい。


「ま、気長に様子みるか」

「…はい」


晶が返事をすると、隣で響が言葉を発した。


「南城政人は?」


国枝が指を差す。
そこには一人の男性。
同時に美晴が話し始めた。


「南城さんは…週刊誌に取り上げられちゃうほど北宮さんと仲悪いの。
お父さんは最初はそうでもなかったって言ってたけど…」

「だから、3人に近づかないのか…」


響の言うとおり、政人は香恵達に近づく気配を見せなかった。


「なんか、不自然な光景…」


――何か起こる前に止める―絶対に――