──数日後。
何とか女中や小姓は、自分にできることを精一杯にこなしている。
で、今は洗濯中。
この時代は、洗濯機なんて便利なものはないから、全部手洗いでしている。
でも、今の季節は夏だろうから、とても丁度いい。
それにしても.......
繚『多すぎなのよ!!』
繚が1人でブツブツ小言を言っていると、
原田「おお、頑張ってるなー!」
と、原田さんが明るく声をかけてくれた。
原田さんは、普段から明るくて優しいから接しやすい。
人って見かけによらないものなのね。
繚『頑張ってますよ。これぐらいしかできることないですから。』
原田「いいや、他にもあるぜ〜。それはなー、岸辺が俺たちのそばに居ることだ!」
ガハハと笑いながら、自分の頭を撫で回す。
繚『ちょっと、原田さん!毎回毎回、頭を撫で回さないでくださいよ!髪がグシャグシャになるじゃないですか!』
原田「いやー、お前の髪は柔らかくて触り心地がいいから、ついな。」
繚『もう!』
繚は、怒ったような態度をするが嬉しかったらしく、微妙に口角が上がっている。
だけど、そうなっていることを繚は知らない。
もちろん原田は、繚の口角が少しでも上がっているのが分かっているため、ああやって毎回繚の頭を撫で回している。
しかし、口角が上がっていることは、繚に自分で気づいてもらうためにわざと言わないのだ。