繚『.........』



沖田「あの、岸辺さん??」



沖田さんは、自分が何も言わないからか、不安な表情で自分の顔を覗いてくる。



繚『沖田さん、ありがとうございます。少しずつだけど、信じてみようと思います。さっきの沖田さんの言葉も。』



沖田「嘘ではありませんよ。こちらこそありがとうございます。信じてみようと思ってくれて。」



ぱあっと花が咲いたような笑顔を自分に見せる沖田さん。



そんな顔もできるんだ...。



嘘偽りのない笑顔。



繚『いいえ、これからお世話になります。』


と、繚は丁寧にお辞儀をした。



沖田「っ!?」



繚『ちょっ、沖田さん?どうしたんですか?何か変なものを見たような顔して』



沖田さんは、口をあんぐり開けてこちらを呆然と見ている。



...そんなに見られたら顔に穴が開きそうなんだけど。



沖田「...い、今の笑顔いいですよ!!作ってない笑顔でした!!!」



目をキラキラさせ興奮しながら、自分に話す沖田さん。



繚『嘘...。自分もまだ笑えるんだ。』



あの日以来、作り笑いしかできなかったのに、今はできた。



あの日は、...........


ううん、今は考えるのやめよう。



...ここにいれば、本当に心から笑える日が来るかもしれない。




自分が笑顔に対して驚いていると、



沖田「さぁ、岸辺さん。もう日が暮れてきたし帰りましょう。私たちを待っている家に。」



繚『...はい!』






少しずつ、ここで自分にできることをしていこう。




繚は、そう胸に抱いた。