社会人3年目の夏。
七月の終わりの31日に突然、連絡がきた。
それは父からの電話1本だった。

「千尋が死んだ。」

あまりにも非現実的なことを言う父に迷いもなく、私はこう言った。

「え?だれが?」

今思えば、聞こえなかったとかそういう感じで聞き返したわけじゃないんだな、って思う。
信じられない人の名前が挙がったから。
耳を疑うってこういうことだ。