君が少し気になる






須藤の目は本気だった。



けれど薄々気づいてはいた。


須藤の熱い視線が
いつも私に向いていたことに


…気づいたのは、

私が立花さんに宣戦布告して
その後たまたま会ったあの時だったんだけれど。



でもまさか
こんな教室のちゅうしんで
言われるとは思ってもいなくて


私は驚いていた。




目を見開いてしばらく固まっていた後、

視界にまもなく 彼が映った。



戻ってきた前田くん。




その瞬間、
私の中の 何かが切れた。



音もなく静かに 何かが切れた。






「うん」




気づいたら 声を出していた。


黄色い悲鳴があがる

興奮した声が聞こえる。




「いいよ」



騒ぎ出すクラスメイト

何かを言いたげな立花さんの顔

感情の見えない前田くんの顔




頬を赤くさせて 嬉しそうにする目の前の須藤







私にはもう

何かを考える気力も 感情も

なくなってきていた。