ガヤガヤと騒がしい休憩時間に
須藤は私の席へやってきた。
ちなみに後ろの前田くんは席にいない。
「この前はほんとにごめん」
またその話、
蒸し返すのはやめて欲しい。胸が痛い。
「大丈夫だよ、もう」
「あんな顔、させるつもりじゃなかったんだ」
「…うん」
痛い。
「麻生」
「うん」
「俺と付き合ってほしい」
その瞬間、
教室から音が消えた。
いや、私の心情を比喩して
言ってるんじゃなくて。
事実に、ほんとに。
楽しそうに笑いあってた声が止まって
勉強していたシャーペンの音がやんで
取っ組み合いをしていた動きが静止して
みんなの視線は
一気に須藤へ向いた。
それから、私にも。
その視線に、立花さんのものが混じっていることにも
冷静に気づいていた。

