「麻生、だからさ」 須藤が何かを言いかけた。 私はこれ以上、話を聞けるほどの精神力は持っていなくて 目の前に立つ、須藤の横を通り過ぎた。 今にも涙が出そうだった。 そんな顔を 誰にも見られたくはなかった。 「ごっ、ごめん 麻生」 私が素通りしたからなのか 私の顔が見えたからなのか 焦りの混じった須藤の声が 私を呼び止めようとしている。 でも足はとめない ごめん須藤 私これ以上、 前田くんの名前も 立花さんの名前も 聞きたくないんだ。