「ん」 前田くんが小さく発した。 同時に、私の視界のちょっと上で 白いプリントが風で揺れる。 前田くんのプリントの渡し方はちょっと変だ 右腕を少し持ち上げて、 頭上からプリントをぷらりとさせるので それを受け取るのに私は少々苦戦する なにせ前田くんは背が高い なにせ私は背が低い 「前田くん 取れないよ」 「はは」 「前田くんSなの?」 「麻生にはそうかも」