それからはどれだけページをめくっても写真は1枚も無かった。














―――はずだった。













あった…。














たった1枚だけ。


糊付けされておらず、乱雑に挟み込まれていた。

私の隣に男の子が映っていた。

2人共ピースしているけれど、男の子には点滴跡が腕の至る所にあった。



そして…








線香花火…。











もしかして…






知ってる。






私、知ってる。






この子は…










写真をひっくり返した。

予想通り、書かれていた。

ただし、ひらがなだった。

習いたての漢字を使いたかったのか、漢数字で、撮った日付が記されている。













“二0××年 八月三日 
 げんきくんと花火”













げんきくん…













―――――繋がった…。













複雑に絡み合っていた記憶の糸が一直線に伸びた。

頭の中、あの日の衝撃で無くした記憶が蘇る。

穴の空いた心に記憶の欠片を埋め合わせる。













出会っていたんだ、ヤツと…。



探していたんだ、ヤツを…。



ずっと見守ってくれていたんだ、ヤツが…。













ヤツは…













石澤玄希は…













私の…













初恋の人。