HARUKA~愛~

1日目は、結局保健室でずっと寝ていた。

心配してクラスの同じ担当の女子が来てくれたけど、私は頭の奥がずっと痛くて起き上がってお礼を言うことも出来なかった。


校庭から聞こえてくる楽しそうな声。

窓からシャボン玉がふわりふわりと舞ってやって来ていた。

焼きそばのあまじょっぱいソースの香りとクレープの甘い香りが混ざり合って私の鼻に届いて、何も食べていないのにお腹いっぱいになった気がした。


私は体験することが出来ず、五感を通じて雰囲気を感じ取ることしか出来なかった。





上手くいかなかったり、落ち込んだりすると私は夜空を見上げてしまう。

星を探すけれど、今日はどこにも星が見えない。

分厚い灰色の雲が空を覆い尽くしている。



照らしてもらえないと輝けない。

それが私の長年の悩みで、このまま行くときっとその悩みの種は悩みの種のまま、芽が出ず、花を咲かせることもないだろう。




私はやっぱり分からない。

自分が分からない。


夢はある。

絶対に叶えたいし、叶えなければならない。


でも、今ここに存在している私が一体何者なのか分からない。

説明しろと言われても説明出来ない。


不安とやるせなさ、虚無感が、津波のごとく私を丸ごと飲み込んで行く。


治まったはずの頭痛は今度は若干違うところにあった。















私は本当は何を思っているのだろう。

思っているようで本当は思ってもいないことをしたり、言ったりしていないだろうか。













私もまた雲に姿を隠している。