HARUKA~愛~

石澤玄希様


お手紙ありがとう。

私は心配されなくても、とても元気です。

それより、玄希くんの方が心配だな。

熱が出ている時はちゃんと休んでね。

私、怒らないよ。

休む時はきちんと休んで下さい。

約束だよ。 



私が手紙を出そうと思い立ったのは、実は結婚式の前日。

眠れなかった。

隣で寝ている遥奏を起こさないように慎重にベッドから出て、今ダイニングテーブルでこれを書いてます。

手紙なんて旧式だし、面倒くさいなぁと思ったりしたんだけど、やっぱりちゃんと伝えておきたいなぁと思った。

私がずっと玄希くんに伝えられなかったこと、今からここに記します。


私は、玄希くんのことが好きでした。

大好きでした。


なんか書くだけでも緊張する…。

ずっと言えなかったから、今書いているけど、本当はずっと言いたかった。

記憶を取り戻す前から、私の脳の端っこでガタガタ音を立てているものがあって、たまに誰かの笑顔が浮かんでくるの。

誰なのか思い出せなくて、でも大切な人だなってそれだけはわかってた。

思い出した時、私は胸が痛かった。

玄希くんの思いに気づいていたはずなのに、ずっと見てくれていたはずなのに、私は玄希くんに何もしてあげられなかった。

そんなこと、気にしなくていいって玄希くんは言うと思うけど、そんなの本心じゃないよね?

本当にごめんなさい。


そうは言っても過去は変えられないから、私は今、玄希くんの幸せを心から祈りたいと思います。

どうか幸せになって下さい。



最後に、体には十分に気をつけてアフリカの人のために頑張ってね。

玄希くんがたくさんの人の命を救ってくれると信じてる。

私はずっと玄希くんを見てるよ。
遠くからだけど、許してね。

そして、良ければ私と出会ったことをちゃんと覚えておいて下さい。

私は玄希くんと出会えて本当に良かった。

本当に本当に良かった。

最高の青春(あおはる)をありがとう。




ではまた会う日まで。









あなたの愛する蒼井晴香、
   そして阿部晴香より