HARUKA~愛~

夕日の黄とオレンジ色のグラデーションが砂漠に鮮やかに差し込む写真。

砂漠の中央にひっそりと佇む枯れ木の写真。

砂漠の上に広がるネイビーブルーの夜空を流れる無数の星が天の川ように見える写真。


そのどれもが美しく、儚い。


まるであの日の線香花火…。







明日は私の人生の中で最も輝く時なのに、こんなに胸が苦しいのは…何故?






私は結局、伝えられなかった。


ーー好きだよ。


その一言が、あの時の私には言えなかった。


たとえその時言えなくても、あの日病室で言うべきだった。


ーーずっと好きだった。


たった一言なのに、やっぱり言えなかった。














「ただいま!」


帰って来た。

私と明日永遠の愛を誓う人。

私と運命を共にする人。


「おかえり、遥奏」


私はティッシュを何重にも重ねて流れた思いを拭い、彼を迎えた。

私の笑顔の先には阿部遥奏がいる。

そして明日私は、阿部晴香になる。