私の書いた原稿に彼女は少々涙ぐみながらも最後までチェックしてくれた。

「はるちん、大丈夫だったよ~。あたし、もう泣いちゃって…。はるちん、責任とってよ!」


感受性が豊かなところはさすが芸術家だ。

私が感心していると彼女は私が見ていた出席者名簿を自分の手元に引き寄せ、並んでいる名前1つ1つに目を通していった。


「ねえ、この関太一っていう人、元サッカー部のエース?」


瑠衣ちゃんが懐かしそうに話し出した。


「サッカー部の応援に行った時、この人だけはちゃんと挨拶してくれたんだよねえ。さすが、エースはちゃうなあって思った」


瑠衣ちゃんの関西弁の可愛さで若干記憶が薄れかけたが、関くんもまた私にとって忘れられない人だ。

八千草ちゃんに思われ、サッカー部のエースナンバーを背負っていた関くんは、今では高校の体育教師。

熱血指導でサッカー部の根性、技術共に磨いているらしい。

サッカーをこよなく愛する彼は、やはりまだ恋愛から遠のいているのだろうか。



そういえば、八千草ちゃんには招待状を送らなかったのだけれど、彼女の情報収集能力はピカイチでいつの間にか知られ、私の元に電話がかかって来た。

「出席するな」なんて言えず、結局彼女も参加することになってしまった。

さすが、報道記者。

その探索力、見習います。