凛子と一緒にいれる、というだけで彼の望みはほぼ満たされている。まぁ…後は本当に凛子の点数が心配だった。
「って、勝手に決めちゃったけど、凛子いい?」
美麗がはたと問うと、真っ赤な顔がこくりこくりと上下した。
「あの、じゃあ、二人とも、…よろしくお願いします」
普段はあまり人気のない学校の図書室だが、今日は沢山の生徒がその席を埋めていた。特別、進学校という訳ではないが、そこそこの偏差値のこの高校。テストもそこそこ難しい。
「だからここはこうなる。ここまではおっけ?」
「・・・・」
「・・よぅし、じゃあ最初からもう一回いこうか。このxはつまり・・」
真横、十数センチ程の距離から囁くように響く煌生の声に、凛子は早鐘のように鳴る心臓を押さえつけながら耳を傾けていた。
「穂高先輩、近すぎます。もうちょっと凛子から離れて下さい」
「えー、だって図書室だからあまり大きな声出せないし、教えるにはこのくらい、近付かないと」
このくらい、と言いながら更に凛子に椅子を寄せた煌生を、美麗が鋭く睨みつける。
「ちょっと私お手洗いに行ってきますけど、もしそれ以上一ミリでも距離が縮まってたら、・・わかりますね?」
凄みの余韻を残して女子トイレの方へ去ってゆく。悪びれる様子のない「あははは、はーい」という笑い声が聞こえると、再び触れそうな距離で、凛子の耳に呪文のような公式がスラスラと流れ込む。
「って、勝手に決めちゃったけど、凛子いい?」
美麗がはたと問うと、真っ赤な顔がこくりこくりと上下した。
「あの、じゃあ、二人とも、…よろしくお願いします」
普段はあまり人気のない学校の図書室だが、今日は沢山の生徒がその席を埋めていた。特別、進学校という訳ではないが、そこそこの偏差値のこの高校。テストもそこそこ難しい。
「だからここはこうなる。ここまではおっけ?」
「・・・・」
「・・よぅし、じゃあ最初からもう一回いこうか。このxはつまり・・」
真横、十数センチ程の距離から囁くように響く煌生の声に、凛子は早鐘のように鳴る心臓を押さえつけながら耳を傾けていた。
「穂高先輩、近すぎます。もうちょっと凛子から離れて下さい」
「えー、だって図書室だからあまり大きな声出せないし、教えるにはこのくらい、近付かないと」
このくらい、と言いながら更に凛子に椅子を寄せた煌生を、美麗が鋭く睨みつける。
「ちょっと私お手洗いに行ってきますけど、もしそれ以上一ミリでも距離が縮まってたら、・・わかりますね?」
凄みの余韻を残して女子トイレの方へ去ってゆく。悪びれる様子のない「あははは、はーい」という笑い声が聞こえると、再び触れそうな距離で、凛子の耳に呪文のような公式がスラスラと流れ込む。
