『久しぶりだねミカ』

抱きつくわたしの頭を撫でる。
脂ぎってきたないオヤジ。
ルージュに入ってからずっと
指名をしてくれているが
狸みたいな腹と脂ぎった顔が
受けつけない。

「ありがとうねっ。店電話するけどいつもと同じ?」


『うん、180分でお願いね。』


「はーい。…あ、もしもし180分コースです。はーい」

『はい、これここ置くね。』

オヤジはなにも言わずとも
金を机の上にきちんと並べた。
にこにこ笑いながら心の中では
毒を吐いていないとやっていけなかった。


「よし、お風呂ためてくるね!」


タイマーをセットし
オヤジに背を向け浴室に向かう。
洗面台の鏡に映るオヤジは
ニタニタと笑ってこちらを見ていた。