イノセント


「ほら、もうすぐ電車来るぞ。立てよ」
「うん」







ガタンガタン、ガタンガタン。
近づくにつれて音は大きくなる。

ガタンガタン、ガタンガタン。
電車の姿はまだ見えない。






「目、閉じろ」


金内くんの手が、頬に添えられる。
言う通りに大人しく目を閉じた。


唇に感じる柔らかい感触。
少し暖かくて、心地良い。


金内くんの唇が離れて、唇に冷気が触れた。寒い。







ガタンガタン、ガタンガタン。ガタン……ガタン……………。


ふたりで電車に乗り込む。お互い手袋をした手を握る。
金内くんを見るとにっこりと微笑んでくれたから、私も微笑み返す。











…………ああ。幸せだ。