「どこ行くんだよ」


椅子から立ち上がって去ろうとした時、背後から金内くんに腕を掴まれる。
まさか金内くんに引き止められるとは思わなくて、手のひらがじわりと手汗をかく。
掴まれてるのが腕でよかった。


「どこって、学校。
金内くんはゆっくりしていってよ。今日は授業休むんでしょ?」

金内くんの手はひんやりしている。
ちょっと照れくさくて金内くんから背を向けたまま話す。

あ、先生に金内くんは体調が悪くて休んでるって嘘でもついておこうかな。
おじいちゃんのことを想って休んだわけだし。