と思ったのもつかの間、彼は慌ただしく窓を締めながら話し始めた。

「ごめん風強くて!!
今日天気いーからさぁ、外の風浴びたくなるよね〜♪
あ、ハッシーは今職員室だけどもうすぐ戻って来るからそれまで待っときなよ。
それと差し支えなければ、何年何組の誰さん?」

マシンガンのような勢いに圧倒されて上手く言葉が出てこない。

固まっている私の様子を察した彼は、さっきよりずっと穏やかな口調で言い直した。


「いきなりでびっくりしたよね、ごめんね?

俺は2年4組、小柳樹(こやなぎ たつき)です。

橋本先生は今職員室にいるけどもうすぐ戻って来ると思うよ。

それで、君の名前は?」

『…佐渡真白(さわたり ましろ)…
私も、2年4組』

「あ、さわたりさんって俺の後ろの席だよね?
そっか、やっと会えた!」


やっと会えたと言われて少し動揺したが無理もない。

私は2年生になって以降、1度も教室に入ったことがなかった。

もう1ヶ月半も学校に来てなかった私に、小柳くんは嫌な顔ひとつせず、純粋に会えたことを喜んでくれた。

どんな言葉よりも暖かかった。