「何でですか?」

どうして、支社長と一緒に夕飯を食べないといけないのだろうか?

「1人で食べるの、寂しくないのか?」

支社長が不思議そうに聞き返してきた。

「別に寂しくはないですね。

お父さんを亡くしてからは1人でご飯を食べるのが当たり前でしたから寂しいなんて思ったことは特にないですね」

わたしは答えた。

「ああ、そうなのか…」

さっきから支社長は何が言いたいんだ?

「子供の頃から家族一緒にご飯を食べるのが当たり前だったから、どうも1人でご飯を食べるヤツの気が知れないと言うか…」

「ああ、そうなんですか」

「昨日も思ったけれど、1人の食事って思った以上に味気ないもんなんだぞ」

そう言った支社長に、
「それで、わたしのバイトがない日は一緒にご飯を食べよう…なんですか?」

わたしが言ったら、支社長は首を縦に振ってうなずいた。