支社長は取り扱い要注意!

「『あけび亭』?」

と言うか、何だそれは。

「何年か前の凱の誕生日の時に、オムライスを食べに連れて行ったことがあっただろう?」

「ああ、おじさんの行きつけの店の」

1度きりで、その時に食べたオムライスが美味しかったからよく覚えている。

それがどうしたと言うのだろうか?

「連れて行った店の名前が『あけび亭』だったんだ。

父親とまだ小学生だった娘の2人で営業していた小さな洋食店だったんだけど、何年か前に父親が亡くなって店が閉店したんだ。

まさか、彼女が『あけび亭』のお嬢さんだったなんて…」

その展開に、おじさんは信じられないと言った様子だった。

そう言えば…と、俺は振り返った。

初めて彼女のオムライスを食べた時、その時に食べたオムライスと味が同じだったような気がする。