やっぱり言わなければよかった。

後悔した。


「この服、俺の好みです!」


モデルさんがキラッキラの笑顔で言ってくれる。


「ほんとですか?そう言っていただけて嬉しいです」

「なんか好み過ぎて興奮しそうです」


へらっと笑ったその表情が望くんっぽくて。

痛み切った胸が叫んだ。


「俺、このブランド好きかもなあ」

「ふふ。いい仕事ができました」

「……あの方が店長さんですか?」


モデルさんは望くんを指差す。


「んー……デザイナーさん、ですかね」

「ああ、そうなんですね!あの人と話、合いそうだなあ」


モデルさんは、再び撮影を開始する。