「今回はねー」


望くんの夢はデザイナー。

洋服を着てポーズをとるモデルではない。


「店長がね、新店舗を構えたいって言ってて。その広告を撮りたいんだ」

「広告かあ」

「そう。あ、モデルさんは探しておくからね」

「え?」

「モデルさん。ん?僕じゃないよ?」


望くんは首を傾けて笑う。

そう、やっぱり違う。


「そ、だよね。望くん、将来はデザイナーだもんね!」

「うん」


へへ、と照れたように笑う顔が胸を傷ませる。

イメージはこんな感じでー、と望くんは続けるけどそれは一切頭に入ってこなかった。

せっかく見つかった夢。

追いかけようと思えたもの。

もう叶わないと言われてるようで、今すぐにでも駆け出したかった。


「……夢?」

「……ん?あ、ごめん」

「ううん。急に頼んじゃったもんね。これ、ある程度まとめてあるからまた電話するね」

「あ、うん。ごめんね、ありがとう」

「いいえー、こちらこそ。よろしくね」

「うん」


望くんに合う服を探すこと。

いつか、その夢は叶うのだろうか。