「もう秋の新作出尽くしたって店長が言ってて。これまでは何も考えさせてもらえなかったんだけど、やっと、頼んでくれて」

「……あ、そ、そっか!すごいねっ」


スケッチブックに描かれているのはパーカーだろうか。

これまでにない斬新なデザインで、きっと望くんが着たら凄く凄く似合うんだろう。

いっぱい書き込みがしてあるスケッチブックを見るのがなぜか辛かった。


理由はすぐわかった。


「僕ね、デザイナーになるのが夢なんだ」


辛い意味がわかったのと同時に、秘めてた自分の夢も、いきなり溢れそうになった。


「いつかは自分でお店を構えたい。でももう二十二だし、甘くないからって諦めてたんだけど……せっかくチャンスくれたんだから頑張りたいんだ」

「……凄いね」

「ありがとう。あ、そうだ。仕事の話だよね?今回は急な依頼ごめんね」

「……ううんっ」


笑わなきゃ、望くんを悲しませると思った。


私の夢は。