「望くーん……?」


お店に来る途中、望くんのお店のショッパーを持った女の人とすれ違い、ちょっと胸が痛くなった。


お店には望くんの姿がなかった。

裏で仕事をしているのだろう、と店内を見ておくことにした。


爽やかな香りが漂う店内。

すべてから望くんを感じられるここは、私の大好きな場所だ。

ストーカーチックな発言かもしれないけど、それくらい望くんが大切なんだ。


しばらくたって、低い声で私の名前が呼ばれる。


「夢?」

「望くん」


望くんは欠伸をして、「ごめんね」と言う。


「なんか待たせちゃった?」

「ううん、全然。こっちこそ急に来てごめんね。なんかお仕事してたの?」

「あー……仕事っていうか……」


望くんは奥の部屋からスケッチブックを持ってきた。


「新作の案を、ね」


そう笑う望くんの笑顔は、太陽よりも眩しかった。